介護予防のためのアレクサンダーテクニーク

最近はニュースでもネットでも、老人の人口増加問題が毎日の様に取り上げられています。

確かに街に出ると老人が多い印象を受けるし、更に自分たちの親も高齢になって来ているのを目の当たりにしていると、いかに元気で老後を過ごすことが大事かを考えさせられます。

私は、現在2,3週間に一度、お姑さんの家に行って、ATワークをさせてもらっています。

お姑さんは、81歳。お元気ではありますが、数年前に大腿骨頸部(股関節の付け根)を骨折し手術をしてから、やはり普通に歩くのが困難になり、外では杖をついて歩いているし、長い間立つのはなかなかしんどそうです。

それで2,3週に一度のATワークをここ何年か続けていますが、今の状態は一時より良い感じがします。

手術後、片足を引きずって歩くようになり、以前より立っている時間が短くなると、どうしても体がよじれたり、前にかがみこみ、頭が胴体から前へ落ちます。そうすると頭から脚までのバランスが崩れるので、脚にしっかり体重がかからなくなり、ますます歩くのが辛くなります。

そして、以前のお姑さんを見ていると、

「辛いけど運動しなくちゃ!歩かなくちゃ!」

でも、しんどいからあまり動きたくない。

と言う2つの気持ちが絶えず混ざっていて、しんどそうでした。「歩けないのは私の怠慢のせい」と罪の意識を背負っている感じでした。

それを見ていて、「うーん、なんだか辛い感じだなあ!」としばらくは思っていたのですが、やはりATワークを続けていくうちに、「ああ、この感じが『胴体の上に頭が乗る』と言うんだね」と少しづつわかってくれるようになったみたいです。

なので、以前よりも

「バスを待っている時は、ちゃんと頭を上に考えているよ!そうすると、長く立っていても辛くないね!」

と言うような言葉を言ってくれるようになりました。

やはり人は何かを「やりたくない!」と思う時、それは、傍から見て「さぼっている!」と見えたとしても、やりたくなくなり(さぼりたくなる)原因が何か必ずあるんですね。お姑さんの場合も、身体のバランスが狂うとプライマリーコントロールが働きにくくなるので、それをより働ける状態に持って行く手助け(私たちが身体の方向性を説明すると同時にタッチ(ハンズオンと呼ばれます))をすることによって楽に動けるようになったり、身体の動く方向性がわかり、きっと「歩く気」や「がんばろう!」と言う気が出てくるんだあと感じました。。

普段私はATのレッスンを音楽家や俳優、武道をする人などにすることが多いですが、ATは実は高齢者などにとても役に立つものなのでは?と思っています。それは人間の本来の機能を最大限に引き出す必要性が、高齢になればなるほど高まるからです。

どちらかと言うと、普通に元気な若い人は、立つ、座る、歩くのに困るって言う事は少ないですよね。なので、それをわざわざ学ぶと言うことは、音楽家や俳優など身体を使う仕事の人たち、腰痛などの痛みを抱えている人たち以外はあまり興味がないことが多いです。本当は誰にとっても身体は大事な事だけれど、人は困らないとそういう事に目を向けようとはなかなか思わないものですよね。

高齢になった時、多くの人は「自分は歳だ!」とか「自分は身体が元々硬いから!」など、まるで他人の身体のせいみたいに話したりします。実際、歳なんですが、歳のせいにするのって楽ですね。

実際、そこに目を向けて自分に向き合う、なんていうのは、若くても面倒だし、なかなか年をとってからではしんど過ぎるのでしょう。

ただこれからの時代、寿命が延び、お年寄りが増えて来て、介護費用などがどんどん減らされていく場合、今よりもっともっと介護予防の意識が大事になってくるのでは?と思います。(まあ、本来介護費用がある無しにかかわらずでなければならないんですが、人は困らないと考えないので。)そして今後は、自分の身体は自分で面倒をみよう、と言う考え方が広まり、若い時から自分の身体に向き合うことは日々の充実感が違うし、結果として将来も長く元気で居られることにつながるでしょう。

ネットで調べれば、いろんなことが簡単にわかる現代において、身体の使い方だけは、頭だけでわかっても意味ないですからね。

そんなこんなで、私と家族の目標は、両親達がいかに寝たきりになる時期を遅らせることができるか?と言う事です。

(と書いたものの、もちろん自分もまだ経験していない「親の介護」「自分たちの老い」ですから、あくまでも想定で、私の想定は甘かった!みたいな事もあるのかもしれないけれど!)

お読みくださり、ありがとうございました。

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