練習について考える

今回は「練習」と言うことについて考えてみたいと思います。

音楽の世界でもスポーツの世界でも、練習は大事と言われますよね。

楽器のレッスンで上手く演奏できない時などによく見る光景!

先生

とにかく
もっと練習しなさい!

生徒さん

は、はい、すみません。

こんな風になっていませんか?

でも、本当に練習ってメリットばかりなのでしょうか?

私自身はドイツに留学中に時間がたくさんあったので、けっこうな時間を練習に費やすことができました。「練習が全て!」くらいに信じて、一日5時間以上はやっていた時期もありました。

ところが練習をしてもしても、一向に上手くなっている感覚がなかったんですね。ずっと同じところの周りをぐるぐる回っている感じ。

そこで思ったのが

「もし練習時間が長い方が楽器が上達するなら、一日中やる方が良いよね?でも、そういう感じがしない。どうもおかしいな?何かが違う!」と言う事。

それで次に考えたのは、

練習のやり方が良くないのかも?

でした。

昔習っていた先生からも、「練習のやり方って言うのが大事なんだよ!」と聞いたことはありました。でもそのやり方というのは、例えば早いパッセージを、テンポやリズムを変えたりして練習する類の事、と理解していたのでそれはやっているつもりでした。

やっぱり何かが違う。

と悩み続けました。

そう思っていた矢先に、偶然なのか必然なのか私はアレクサンダーテクニーク(以下AT)に出会いました。

ATを学んでいくうちにわかって来たことは、結果から言うと

私がやっていた練習の大部分は無意味であった。むしろデメリットの方が大きかったのでは?

ということでした。これは何となく私の想定内でもありましたが、がっかりしてしまいました。それは、

私の身体の使い方が悪かったので、教師から習ったことは、私においてはほとんど機能していなかった、と言う事でした。

つまり多くの大先生やマイスターと呼ばれる人は、大体は元々身体のバランスが良い人が多いです。なので、教師と当時の私の身体の使い方のレベルが全然違うので、教師を言ったことを私がやろうと思っても、全然上手く行かないんですね。

それなのに無理して言われたことを毎日コツコツと練習すると上達しないばかりか、身体の使い方がまずいので、何回も同じ事を繰り返して練習する事によって、むしろ身体を壊してしまうという悲しい現実~。

私が今もよく思うのは「長時間無理なやり方で練習することによって、むしろフルートが上手く演奏できない身体になってしまった」と言う真実です。

では、この辺りをもう少し詳しく考えてみたいと思います。

例えば、フルートの口の形(アンブッシュア)について先生から教わる時に「唇の穴の形(アパチュア)をなるべく小さくする」と言う事をよく言われるとします。

ある程度身体のバランスが良い人なら、何も考えずに唇の穴を小さくすることはできると思います。

でも昔の私だったらそれを聞いたら、簡単にそれができないので、無意識のうちにとにかく力づくで唇の穴を小さくしたでしょう。

そもそもバランスが悪い人と言うのは、身体がガチガチなので身体の先端(この場合は唇)にまで細かく神経が届かないんですね。と言うことは、唇の穴を小さくすることができないのです。それを一生懸命練習してもほとんど意味がありません。

でも多くの人はそれにほとんど気づいていないと思います。「どうしてできないのだろう?」と考えられればまだ救いはありそうなものですが、無理やり力を入れて唇の穴を小さくしても、それが間違いだとなかなか気づかないのです。できたつもり、やったつもりになっているのです。

これは恐ろしいことに、アンブッシュアだけの問題ではなくて、タンギングを習っても、指の練習にしても、様々なところで同じような無駄な努力をすることになります。

そして変な練習の積み重ねばかりが増えて来ると、どんどん問題はあちこちに出て来てます。

では身体のバランスの悪い人はどうすれば良いのでしょうか?

そうですね、やはり時間はかかりますが、自分の身体を観察すること、例えばちゃんと立つとはどういうことか?をいちから考えてみる事をお勧めします。

自分一人で鏡などを見てできればいいのですが、なかなかそうも行かずよくわからない場合が多いと思うので、時にはちゃんと専門家から教えてもらうことをお勧めします。

まとめ:練習は、正しい身体の使い方があって初めて成果が出るものである。

しかし、これに気づくのは、楽器を習い始めてけっこうな時間が経ってからが多いです。何事でも習い始めは、練習して来ていないから上手にできなくて当たり前と思っているし、どんなやり方でも最初の方はできることがだんだん多くなってきて、伸びているように見えます。これが危険なのですね。

けれども、気づいた時はいつでもやり直すチャンスです。何となくしっくり来ないで練習している自分が居たり、練習の時間のわりに実力がついて来ないと感じる場合は、身体の事を疑ってみてくださいね。

最後に一言!決して練習自体が良くないと言っているのでは無いので、誤解のない様!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次