私は長い間、アレクサンダーテクニークの世界にどっぷり浸かっているのですが、ふと「私たちはATで何ができるのだろう?」と原点に考える事があります。
たまたま先日、私の生徒さんにレッスンご感想を書いてもらったのですが、これは私の生徒さんたちが「レッスンを受けてみてどんな事を感じるのだろうか?」と言う事を一般の人に知ってもらいたい、という動機からです。もちろん書いた方々は匿名ではないので、悪い評価を書いて来られる方は居ません。ですからこれは「みんながレッスンに大満足していますよ!」と言う指標にはならない訳ですが、「レッスンを受けて何が変わったのか?」を知ってもらう参考例にはなるかと思っています。
それを見てみると、人によって様々な感想があることがわかります。
✔本番が怖くなくなった。
✔身体が楽になった。
✔他人と話すのが楽になった。
✔楽器を練習しても疲れなくなった。
✔楽器を吹くのが楽になった。
等々
では私自身の場合どうだったのか?と言うと、大体生徒さんの感想に似た感じですが、更に言うと↓
✔身体の使い方がかなりわかった。
✔物事の根本を考えるようになった。
✔ただ頑張るのではなくて、努力の仕方がわかった。
等々、長くATに携わっているからこその変化もあります。
それで、楽器の上達に関して言うと、まず最初に言えるのは、やはり物事には順番と言うものがあると言う事です。
例えば私たちのレッスンは、大体の時間は「ちゃんと立つことはどういうことか?」「座るとは?」と言うところを丁寧に見ていきます。
それは、理論的に身体がどういう風になっているか?を大雑把に説明することもありますが、大抵は身体を通しての体験して貰う事がメインです。そうすると、普段自分が思っていたバランスと正しいものはけっこう違う事に気づいたりします。
これは書くと簡単に聞こえますが、今まで考えたこともなかった方向が正しかったりするわけで、割とそれはその人にとって難しいことでもあったりします。
これが楽器をやっていようが、いまいが、ATのレッスンの大部分となり、楽器を演奏する人にとっても基礎中の基礎、最初の第一歩です。
さて楽器を演奏すると言う事は、この先にある身体の使い方の応用編になります。
楽器演奏は、スポーツ選手とまではいかないかもしれないものの、かな~りレベルの高い身体の使い方が要求されます。また、音楽家はスポーツ選手よりも現役寿命が長いです。
ですから、基礎的なちゃんと立つ、座るのような時のバランスが上手く行っていなかったら、応用は上手くいきません。
そこが人によっても差があるところで、元々の身体のバランスが割と良ければ、けっこう早く楽器にもコツを取り入れる事ができるんじゃないかなと思います。逆にバランスが元々良くない人は、まず基礎のところから整えていく事になるので、応用まで行くのは時間を要します。
あともう一つの厄介な点は、楽器をする人たちは今まで練習してきた癖が強くついている、と言う事です。これは当然ですが、長年長時間やった人ほど癖が強い傾向にあります。なので、立つ、座るが上手く行っても、楽器をやるとまた自分の癖に戻ってしまうと言う事は多々起きます。
もしATを習って、それから初めて習う楽器やアクティビティをやるとすれば、話はずいぶん早いかもしれませんが。
ここでも言えることは、今までの練習で得た癖が多いかどうか?も、楽器にレッスンの効果をすぐに感じるか?に関係してくる感じがします。
と言う事を考えると、「ATで楽器が上手になるか?」と言われると、もちろんYes!なのですが、人によってどれだけ時間がかかるか?の差があると言えますね。
もちろん、その人がどこまでのレベルの演奏を求めるか?によって変わってきますし、他人とよーいドン!で比べる事は、まったく意味がありません。
ちなみに、私は身体のバランスが元々良くなかったので、自分のフルート上達に行くにはものすごく時間がかかっていますね。現在進行形?(笑)それでも昔のバラバラだった自分の身体を考えると、ずいぶん方向性が見えてきたように思います。
と言う事で、「ATで楽器が上手になりますよ!」と言う宣伝文句は使って良いのか正直かなり迷うところですが、
大事な事の順番をわかってもらえるなら、きっとATはいろんな形で最終的に楽器上達にお役に立てると思います。
「ATは自分で自分を知って、未来の行きたい方向に行く手段!」なのですね。
お読みいただきありがとうございました。